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知多・三河の今、おいしい旅

  • 旅に出よう、旨いものを食べに行こう。そう思うとき、心は都市の雑踏を離れ、海、山、川、風情ある古き街並みへと向かう。それはきっと日本の原風景が、旅と食を求めることで呼び覚まされるからではないだろうか。ただおいしいだけの料理なら、街にある。それ以上、旅とつながる食の喜びが、日本の各地には宝物のように詰まっている。
  • 今回の旅の目的地は愛知県。名古屋から在来線で50分足らずの知多・西三河だ。このエリアに注目する理由は、古き佳き日本風景の中に海山の幸、伝統ある食文化が揃い、さらに今、新しい食のムーブメントが花開いているからである。

食材の宝庫で花開く、
新しい地産地消の味わい

伊勢湾、三河湾の魚介の旨さと出会える伊勢海老、赤ウニ、キジハタなどの造り盛り合わせ。「蔵の味」は、魚中心の6品にご飯、デザートが付くコースのみで5500円~。刺身醤油は、地元の醤油に鰹節や酒を加えた土佐醤油風。

左/コースに入る、知多牛の石焼きも名物。牛赤身の旨味と脂の甘味が堪能できる。左下/大将の鈴木孝剛さん。名古屋の料亭に勤めた後、日間賀島の旅館で腕を振るい、地元漁師にも顔が利く。「ウニは、素潜りで獲った日間賀島産を届けてもらっとるよ」。

蔵の味

愛知県半田市荒古町1-2
TEL.0569-24-6605 [営]11:30~14:00
17:30~22:00 [休]不定休
※昼は要相談/前日までの予約制

  • 江戸時代、江戸や大阪に酒や酢を運ぶために整備された半田運河。現在は、河岸を散策する人々の憩いの場となっている。

  • まず訪ねたのは知多半島、半田運河の畔にある「蔵の味」だ。潮の匂いを嗅げば、何はともあれ旨い魚が気になる。「片名漁港で水揚げされた魚なら、獲った漁師が誰かすぐわかる」と話す大将の鈴木孝剛さんは、魚の扱い方一つにまで熟練の技と知見を持っていた。「刺身は、活け締めか熟成かというでしょう。自分は、活けの魚を2~4日生け簀で生かしてから捌くのが旨いと思う」
  • 客の顔を見てから捌くという、伊勢海老とキジハタの造りをいただく。硬すぎず、柔らかすぎず。程よい弾力の身から、噛むほどに澄んだ風味があふれる。なるほど、食感と旨味のバランスか......。
  • 半田の地酒・國盛の希少な大吟醸生酒“超(こゆる)”の杯を傾けながら、地元ならではの贅沢に羨ましくなった。「伊勢湾、三河湾は魚種が豊富。秋はメバルやカサゴ、サワラも刺身にすると、日本酒に合いますよ」(鈴木さん)
コチとタコ、オクラのタルタルは、神経締めにした身がぷりぷりのコチとタコを知多半島産の純米酢でマリネに。赤パプリカと純粕酢のソースを合わせた彩り鮮やかな前菜。器は、地元・常滑在住の陶芸家・魚谷あきこさんの作品。器も料理の大切な表現の一部だ。
左上/常滑産天然鰻 赤ワインと有機味醂、粕酢のソース。海の天然鰻は、夏から秋だけの希少なご馳走。器は常滑の陶芸家・藤田徳太さん作。右上/「天然鰻は、入荷したら持ってきてもらえるよう頼んでいます」と話す渡邊シェフと奥様はおしどり夫婦。

ル・クーリュズ

愛知県常滑市熊野町3-143-1
TEL.0569-56-9403
[営]11:30~15:00(L.O.13:30) 18:00~22:00(L.O.20:30)
月曜は夜のみ [休]日曜
※昼平均予算約4200円、夜平均予算約9000円/前日までの予約制

  • 知多半島でも半田が三河湾側なら、半田から車で20分程度の常滑(とこなめ)は伊勢湾側。ここに、知多の新しい地産地消を代表するイノベーティブフュージョンのシェフがいる。「ル・クーリュズ」の渡邊大佑さんは、地元の食材をフレンチの技法で調理し、「この土地のものだけで勝負したい」と、たった8席の店を営んでいる。
  • 常滑生まれの渡邊さん。一度郷土を離れた経験が、地元にある食材の素晴らしさに気付くきっかけとなった。やがて、「毎日でも畑に出かけてここにしかない料理をつくりたい」と自家菜園を始める。魚は、元漁師の鮮魚卸店が地魚を神経締めにして届けてくれるという。
  • この日の前菜は、身がぷりぷりのコチとタコにオクラを加え、知多半島産の純米酢でマリネした華やかなもの。メインには炭火で炙った常滑産の天然鰻に、地元産イチジク、かぼちゃを合わせた一皿が登場した。食材はもちろん、調味料も地元産。しかも酢やたまり、味醂といった伝統的な醸造調味料が使われている。
  • 技法はフレンチそのものだが、地元にいい調味料があるから使う。奇をてらうのではなく、ごく自然体で料理に向かう渡邊さんの姿に、新しいおいしさの形が生まれる現場を見た思いがした。

澤田酒造

愛知県常滑市古場町4-10
TEL.0569-35-4003
http://hakurou.com
「ル・クーリュズ」も扱う“白老”は、濃醇な常滑の酒。蔵元は地産地消にも取り組む。右から特別純米白老1190円、数量限定の白老梅ヌーボー1600円。

半田赤レンガ建物

愛知県半田市榎下町8 TEL.0569-24-7031
https://handa-akarenga.jp
明治と大正のレシピを精密に復刻したカブトビールが味わえる。

食すべきはラーメン、鰻、
そしてスイーツに及ぶ

左/香りと旨味豊かな中細麺を使った、たまりそば1100円(税込み)。豚肩ロースのチャーシューと炙り鶏もも肉、名古屋コーチンしお味玉も旨い。左下/愛知県産小麦きぬあかり100%のふくよかな太麺、冷たいスープの牛タン香露1300円(税込み)。肉は真空調理した牛タン。ともに、返しにカクトウ醸造の尾張本たまり、角谷文治郎商店の三州三河みりんを使用。

麺屋さくら

愛知県半田市出口町1-45-16
TEL.非公開
[営]11:00~15:00 [休]火曜 水曜

二人三脚で店を切り盛りする、店主の川内剛さんと奥様で製麺師の直子さん。
  • 味醂の街・碧南には、昔ながらの風情ある佇まいが残る。上は、寺町と呼ばれる地域の路地。

  • そもそも知多・三河エリアは、愛知県が誇る醸造王国だ。酢、味噌、たまり、白醤油、味醂......。日本全国、さらには世界に知られる有名蔵元が密集する。
  • この伝統をやはり自然体で取り入れ、新しい味へと挑戦を続けるラーメンの名店が「麺屋さくら」。今年7月、主力メニューを支える動物系スープをすべてやめ、和の乾物でつくるだしに変更。製麺も原点から見直し、ほぼ全メニューを刷新した英断が話題となっている。ここでも、地元のたまりと味醂がもたらすコクが、スープや麺つゆに欠かせない。
  • 店主の川内剛さんは、半田のお隣・武豊町出身。この土地のたまりと味噌で育った。しかし、身近にある美味に気付いたのは、店を始めてからだという。「ラーメンは自由。縛りがないから面白い」と話す川内さんの言葉には、逆に自由だからこそベストを尽くす姿勢を感じる。「麺屋さくら」の新ラーメンは、一切濁りのない清々しい旨味が光る。
海外からも注目される武豊町・南蔵商店のたまりと味噌。右から、豆のたまり なじみ333円、つれそい500円、わらべうた666円。豆みそ 里の味666円。渋みなく澄んだコクがある。

南蔵商店

愛知県知多郡武豊町里中58
TEL.0569-73-0046
[営]9:00~17:00
[休]土曜 日曜 祝日
https://minamigura.com

角谷文治郎商店

愛知県碧南市西浜町6-3
TEL.0566-41-0748
http://www.mikawamirin.com

「ル・クーリュズ」「麺屋さくら」も愛用する、国産材料のみで伝統製法を守る本格みりん。右から三州三河みりん1020円、有機三州味醂1040円。一流シェフやパティシエにもファンが多い。

  • 遮光用の黒いネットが特徴的な西尾の茶畑。

  • そして旅は、半田から衣浦(きぬうら)港を渡り、三河の小京都と呼ばれる西尾へ。西尾は抹茶と鰻の名産地。都心ではありえない、高品質で低価格なメニューに出会えるのは、やはり産地を訪ねてこそだろう。
  • 西に京都、東に静岡という二大産地に挟まれた西尾は、抹茶に関して後発の地。それがかえって力となり、色、味、香りの基準で既存を上回るべく、ほかの産地では高級品に類別されるレベルがスタンダードに用いられている。
  • 抹茶メーカー「あいや」が手がけるカフェ「西条園 抹茶カフェ」では、アイスクリームにたっぷりと同社でも最高級のオーガニック抹茶を使用。舌の上で溶けて広がる豊かな香りに、言葉にならない幸福感が押し寄せる。

「西条園 和く和く」は、体験型の抹茶ミュージアム。茶葉のブレンドや茶臼びきを体験できるコースもあり、茶室で味わう自作の抹茶は格別のおいしさ。

カフェの抹茶ぱふぇ800円は、抹茶のアイスクリームに抹茶のプリン、抹茶の白玉と、抹茶の甘味がてんこ盛り。なかでも、アイスクリームの風味が最高!

抹茶ミュージアム
西条園 和く和く

愛知県西尾市上町横町屋敷15
見学(要予約) TEL.0563-77-6572
予約用 https://www.matcha.co.jp
カフェTEL.0563-56-2233
[営]見学受付9:30~17:00
カフェ~17:30 [休]第1木曜

  • 一方、養鰻が盛んなのは三河湾に面した一色町。「三河一色産の鰻は脂の質がいい」と話すのは、「うなみ」店主の山口秀男さん。
  • 実は自然界における鰻の旬は、「夏の新仔(しんこ)より、脂がのって身が締まる9月から11月」(山口さん)。丼からはみ出た鰻に、思わず二度見。カリッと焼かれ、香ばしい。タレは武豊町でつくられた特注品だ。あぁ、都心で食べればこの倍はするだろうな。ありがたく堪能した。
鰻丼 特2600円(税込み)は、特大鰻が丸々一尾と肝吸いが付いてこの値段。脂がのった鰻が、自然の甘味を生かしたタレでさらに旨くなる。
店主の山口秀男さんが一人で焼き場を担当。9時頃から客が並び始め、一日200食を超える日も多い。名古屋や遠方からも来客多数。

うなみ

愛知県西尾市下矢田町円入庵97-1
TEL.0563-77-2393 [営]11:00~15:00(L.O.14:00) [休]月曜(祝日の場合は翌日)
※2020年4月に移転予定

“奥”シリーズで有名な西尾の酒蔵。日
本酒を低温熟成させたヴィンテージづ
くりにも挑む。右から、夢山水十割 奥
旬1530円、山﨑醸 夢吟香DREAM1700円。

尊皇蔵元

愛知県西尾市西幡豆町柿田57
TEL.0563-62-2005
https://www.sonnoh.co.jp/

  • いい味、人との出会いこそ
    知多・三河の今、おいしい旅
  • JR名古屋駅の真上に建つJRセントラルタワーズ。

  • 名古屋に戻り、新幹線に乗る前にぜひ立ち寄りたいのが「ジェイアール名古屋タカシマヤ」。ここは、愛知の食のワンダーランド。待つ人に喜ばれる、自分でも味わいたい土産物の宝箱だ。
  • 西尾を訪ねた旅なら、愛知を代表する女性パティシエ・田中千尋さんの「カフェタナカ」の名古屋フィナンシェや、世界的パティシエ・柴田武さんの「シェ・シバタ」のケーキなどがお薦め。ともに、西尾抹茶の芳醇な風味が生きている。
  • 帰路で思う。これだけネットや流通が発達した時代、愛知の醸造調味料や酒、抹茶は、どこにいても買えるのかもしれない。魚や野菜も、それなりの店に行けば食べられるのだろう。それでも、旅してこそ出会える美味がある。それは地元で生きる人にしかつくれない味、知多・三河の今のおいしさなのだろう。

名古屋フィナンシェ4個入り1150円は、焼き菓子を得意とするパティシエ・田中千尋さん作。西尾抹茶と八丁味噌2種類の詰め合わせ。ともにリッチなバターの風味がマッチ。
「生地の鮮やかな緑色、口の中に広がる風味は、西尾抹茶ならではです」とスタッフ。下/焼き菓子や缶入りクッキーなどが多数揃う。

シェ・シバタ
ジェイアール名古屋タカシマヤ

愛知県名古屋市中村区名駅1-1-4 ジェイアール名古屋タカシマヤ地下1階
TEL.052-566-3739
[営]10:00~20:00 [休]不定休

愛知県が誇る世界的パティシエ、「シェ・シバタ」。シェフパティシエの柴田武さんは2015年、愛知県西尾市抹茶大使にも就任している。左/手前は風味が濃厚な西尾抹茶とチョコレートの組み合わせが絶妙なデリス・オ・マッチャ580円、奥は土産に人気のヴィジタンティーヌ6個入り1350円。
  • カフェタナカ ジェイアール
    名古屋タカシマヤ店

    愛知県名古屋市中村区名駅1-1-4 ジェイ
    アール名古屋タカシマヤ地下1階
    TEL.052-566-8749
    [営]10:00~20:00 [休]不定休

  • JR名古屋駅のコンコースに面した「ジェイアール名古屋タカシマヤ」は、愛知土産が充実している。

  • 名古屋から半田は、JRで約50分。知多半島は、伊勢湾と三河湾に挟まれた風光明媚なエリア。温暖な気候と良質な水に恵まれ、江戸時代には酒や酢、味噌、たまりなどの醸造文化が花開いた土地だ。特に半田は、江戸や大阪といった大都市に大量の酒や酢を運ぶ海運の拠点となり、半島を流れる十ヶ川の下流は半田運河として整備され、大いに栄えた。衣浦港を挟んで向かい合う碧南、西尾の西三河も知多半島とよく似た気候風土に東海道が横断する陸路も加わり、醸造文化が発展。現在でも知多・三河には酒、酢、味噌、たまり、白醤油、味醂などで歴史と伝統技術、高い品質を誇る蔵元が集まり、日本有数の醸造王国を形成している。そんな知多・三河の食の魅力を語るとき、やはりベースとなるのは海、山、野の恵まれた食材だ。多数の河川が注ぎ、外洋から守られた伊勢湾、三河湾は海藻類や貝類、甲殻類が豊富で、沿岸の小魚やタコ、さらに天然トラフグの漁獲量は日本有数。鰻の養殖でも知られる。一方で西尾の茶はもちろん、さまざまな野菜やフルーツの名産地であり、近年は知多牛など酪農でも高い評価を得ている。こうした知多・三河の恵みを自然体で受け入れ、〝ものづくり愛知〟らしい真摯な姿勢で食に向き合うつくり手たちの存在──。それが今、知多・三河を輝かせている新しい地産地消の源泉なのではないだろうか。

2019年10月17日更新

東海道新幹線沿線

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